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「Digital as Usual」で実現する「安心・安全・健康」の未来

公開日:

2025年8月15日

中島 正朝

SOMPOホールディングス株式会社 デジタル・データ戦略部長
損害保険ジャパン株式会社 執行役員 CDO COO DX推進部長

SOMPO Digital Labを率いるデジタル・データ戦略部長が、ビジョン「Digital as Usual」に込めた想いと、シリコンバレー発想で大企業の文化を変革していく挑戦について語ります。

この記事はビズリーチ掲載記事(2025年6月24日公開)を転載したものです。

シリコンバレー発想で加速する、
SOMPOグループのDX

──はじめに、SOMPOグループの事業概要と、SOMPOホールディングス デジタル・データ戦略部の役割についてお聞かせください。

SOMPOホールディングスは、国内外の損害保険事業を展開する「SOMPO P&C」と、国内の生命保険事業及び介護事業を展開する「SOMPOウェルビーイング」の2事業を核に、人々の健康で豊かな暮らしを支えていくことを目指しています。

当グループは損害保険を事業ドメインとする会社として始まりましたが、真にお客様のことを考えるなら、何かあってから補償を提供するのではなく、事故や災害による被害・損害を未然に防ぐような、「安心・安全・健康」に資するサービスを提供する存在でなければならないという考えが根幹にあります。

その実現を確かなものにするためにはデジタル活用が不可欠であるとの考えのもと、グループ全体のDXや新規事業の創出などを専門的に担う「SOMPO Digital Lab(以下、SDL)」を2016年に設立し、グループ全体でより良い未来をつくるための取り組みを進めています。SDLはSOMPOホールディングス内のデジタル部門の総称ですが、東京とシリコンバレーに拠点があり、東京の拠点にあたるのがデジタル・データ戦略部です。

──「SOMPO Digital Lab」の立ち上げから現在に至るまでの歩みを教えてください。

SDLは日本社会の変容を見据えた経営陣の強い危機感から誕生しました。自動車保険をはじめとする損害保険や生命保険などの当グループの主要事業は、人口動態と深く連動しており、少子高齢化が進むなか従来通りの事業を継続するだけでは成長の限界が明らかだったためです。

こうした背景から、東京に加えシリコンバレーにもラボを設け、先進企業に学ぶ決断をしました。着目したのは技術そのものではなく、デザイン思考やアジャイル開発を取り入れた「仕事の進め方」です。多様な人材が連携し、迅速に価値を生むスタイルに、私自身も大きな影響を受けました。

そのため、SDLの設立において一番に目指したのは、デジタル人材の獲得でした。当初は保険業しか経験したことのない5名の社員で発足したSDLですが、現在では200名を超え、その7~8割が異業界出身のデジタル人材です。同業他社と比べても大きく投資をし、早くから外部採用に力を入れてきた結果だと思っています。開発体制もウォーターフォール型からアジャイル型へ転換し、企画段階からビジネスユニットと一体となって、継続的に価値を創出できるような基盤を築きました。

──SOMPO Digital Labのビジョンとして掲げる「Digital as Usual」という言葉には、どんな思いが込められていますか。

「Digital as Usual」とは、デジタルが特別な存在ではなく、「当たり前にある状態」として根づいた状態を示す言葉です。現に、Apple Inc.やGoogle LLCなどには「デジタル戦略部」といった個別の組織は存在せず、各事業部門にエンジニアやデザイナーが内在化しています。そうした企業文化や働き方を理想とし、このビジョンを掲げました。

将来的には、すべてのビジネスユニットにデジタル人材が配置され、当部自体が発展的に解消される姿を目指しています。もちろん、エンジニアやデザイナー同士の横のつながりも必要なので、専門性を保ちながらもビジネスと並走できるハイブリッドな組織構造を模索しているところです。

すでに、SOMPOグループ内の各事業会社の企画部門では、企画段階から当部のデジタル人材を巻き込んで開発を進めることが当たり前になりつつあり、「Digital as Usual」に近づいている実感があります。一方で保険や介護の現場レベルでは、まだ道半ばであり、「Digital as Usual」をいかにグループ全体に広げていくかが、次なる課題だと考えています。

ビジネスユニットとワンチームで、企業文化の変革をリードする存在に

──ビジョンの実現に向けて、現在どのような取り組みに注力していますか。

2つの事例をご紹介します。1つ目は、損保ジャパンの改革プロジェクト「SJ-R」です。少子高齢化の進行などにより自動車保有台数や住宅着工件数が減少するなか、事業の持続的な成長には、根本的な業務変革が急務です。

例えば、事故にあったお客さまに保険金をお支払いする部門(以下、保険金サービス部門)において、これまで電話で行っていたお客さまとの連絡をLINEでできるように再構築し、業務効率を大幅に改善しました。また、LINE上のやりとりを基幹システムと連携することにより、業務プロセス全体の変革も進めています。

2つ目は、生成AIの活用です。業務効率化に加え、顧客や代理店への新たな価値提供を目的とし、AIによる自動応答やチャット文案の生成、データベース連携によるリアルタイムな回答などの実装を進めています。

──既に大きな成果を上げられているのですね。成功の要因はどんな点にあると思われますか。

アジャイル開発の導入と内製化にあると考えています。プロジェクト専任のプロダクトオーナーをビジネスユニットから選出し、SDLのエンジニアやデザイナーと一体となってアジャイルに開発する体制を敷いています。その上で、モデルとなる課・支社で新ツールの運用検証を行い、現場のフィードバックを迅速に反映する柔軟なアプローチを取っています。

例えば、広島の保険金サービス部門において、属人的だった担当者への案件割り振りを、AIで自動化する運用検証を実施しています。現場からは「業務の偏りが減った」「納得感がある」などと好評で、業務効率の改善のほか従業員の満足度にも寄与しています。

お客さまや現場のニーズは時代と共に変わっていくため、これまでのような「リリース=ゴール」という考え方から、現場のフィードバックを踏まえてアジャイルに改善するアプローチに変えてきたことが成功の要因だと考えています。委託という形で外部に頼るのではなく、開発部隊を内製化し、ビジネスユニットとワンチームとなってプロジェクトを推進していくことで、「自分たちでデジタルを活用し、新しいサービスを創り出していく」という意識の変革にもつながっています。

広範かつ多様な事業に携わり、
デジタルにとどまらない総合力を培う

──これからキャリア採用をさらに強化する理由についてお聞かせください。

従来、ビジネスユニット側にはエンジニアやデザイナーとの協働経験が乏しく、その価値が十分に浸透していませんでした。しかしSDLメンバーの尽力と実績により信頼が醸成され、「また一緒に仕事がしたい」「次のプロジェクトにも参加してほしい」といった声が急増し、今では対応が追いつかないほどの状況にあるからです。

また、私たちは「Digital as Usual」実現のため、完全内製アジャイル開発体制の確立を目指していますが、まだすべての領域での自前化には至っておらず、組織拡充が喫緊の課題だと考えているからです。

──これからキャリア採用をさらに強化する理由についてお聞かせください。

最も重視するのは「成長意欲」です。専門スキルや実務経験にももちろん期待しますが、過去の経験を生かすだけではなく、「新たな高みを目指したい」「新たな刺激を受けて成長していきたい」という意欲を持つ方を求めています。当グループの事業は保険や介護、新規領域など多岐にわたるため、意欲次第で関心や志向に応じたテーマに挑戦し、キャリアを深化・拡大できる環境です。

私たちが理想とするのは、特定分野の専門性(縦軸)に加え、ゼネラリストとしての視野や応用力(横軸)を兼ね備えた「T字型人材」です。エンジニアやデザイナーなどの専門職であっても、保険業界のビジネスやマネジメントの視点を学び、自ら吸収しようとする姿勢があれば、活躍のフィールドはさらに広がるでしょう。

スタートアップの文化を取り込み、「社会のインフラ」として挑戦を続ける

──今、貴社に入社する意義として、どんな点があるでしょうか。

当部では、単なる技術導入ではなく、企業そのものの変革に本気で挑んでおり、ウォーターフォールからアジャイルへと企業文化を転換させるプロセスを現場主導で推進しています。

シリコンバレーをはじめ、デジタルの先進地域から新たなサービスが次々と生まれている一方、日本経済は停滞感から抜け出せずにいます。その一因に大手企業の伝統的文化があるならば、旧来の業界イメージを覆そうとする私たちのプロジェクトは、社会全体の変革を後押しする好機にもなるはずです。そうした仕事に携わることは皆様のキャリアにとってきっとプラスになると信じています。

また、当グループは「安心・安全・健康に資する企業」としてウェルビーイング事業にも注力しており、社会課題解決に直結する意義深いプロジェクトに参画できる点も魅力です。「想像以上に多様な領域に挑戦できる」といった声が、キャリア入社者から多数寄せられています。

──最後に、この記事を読んでいる方に向けて、メッセージをお願いします。

デジタル・データ戦略部は、シリコンバレーのスタートアップを一つの手本とし、SOMPOグループを変革する最前線にいます。アメリカでは、大企業といえどもスタートアップに市場を奪われ、淘汰されることも珍しくありません。日本はどちらかというと保守的で、既存のブランドへの信頼が厚いですが、それに甘んじていては当社も時代の変化に取り残されてしまうでしょう。

保険や介護は、人々の暮らしを支える「社会のインフラ」ともいえる存在です。なくてはならない事業だからこそ、変わり続けなければ未来は切り開けません。積み重ねてきたグループの強みを生かしながら、柔軟性とスピード感のある新しい文化を育てていく。この挑戦に共鳴し、未来を共に描ける仲間との出会いを心待ちにしています。

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