変化の時代に求められる顧客体験を、デザインの力で形にする

従来の保険会社の枠組みにとらわれないビジネスを展開し、大胆かつスピーディーな変革を進めているSOMPOグループ。その中核を担うSOMPOホールディングス株式会社デジタル・データ戦略部のなかでも、挑戦の原動力として存在感を増しているのがデザインチームです。今回は、同チームで活躍するシニアサービスデザイナー、シニアプロダクトデザイナーの2名に、SOMPOにおけるデザインのあり方や、仕事の魅力についてお話を伺いました。

公開

2025年9月10日

この記事はビズリーチ掲載記事(2025年8月26日公開)を転載したものです。

Interviewees

野添 真由美

SOMPOホールディングス株式会社 デジタル・データ戦略部 シニアサービスデザイナー

氷室 暁麻

SOMPOホールディングス株式会社 デジタル・データ戦略部 シニアプロダクトデザイナー/氷室 暁麻

デザインの力で切り拓く、新たなサービスや顧客体験

はじめに、SOMPOホールディングスのデザインチームについてご紹介ください。

SOMPOのデザインチームは2019年に発足し、「真に価値ある体験をデザインとテクノロジーで共創し、安心・安全・健康であふれる未来を実現する」ことをビジョンに掲げ、活動しています。

私たちはインハウスのデザイナーとして、SOMPOの目指す「安心・安全・健康であふれる未来」を、AIやエンジニアリングといった最新テクノロジーと有機的にコラボレーションしながら、価値ある体験を形づくり、社会に実装することを目指しています。

現在はSOMPOグループ各社からの相談が増え、企画規模のプロジェクトを上流から任される機会が多くなっています。

―サービスデザイナーの役割について具体的にお聞かせください。

主な役割は、企画の初期フェーズで「誰の、どんな本質的課題を解決すべきか」という問いを立て、仮説構築と検証を繰り返しながら、新しいサービスや体験をプロジェクトメンバーと共に企画することです。SOMPOグループには、さまざまなリスクに対する損害保険を管掌する「SOMPO P&C」と、高齢化社会の課題解決を目指す「SOMPOウェルビーイング」の2つの領域があります。それぞれが対象とする顧客や課題の特性が異なるなかで、私たちはユーザー起点・顧客視点で「サービスのあるべき姿」を解き、形にしています。

具体的なプロセスとしてはまず、企画初期におけるUXリサーチのリードがあります。プロジェクト設計時にUXリサーチを組み込み、ビジネスメンバーに当事者として参画してもらうことで、顧客視点を「自分たち事」化していきます。

そして顧客を深く理解したうえで、定義した本質的な課題に対するソリューション案や顧客体験をビジネスメンバーとともに検討し、ステークホルダー間でサービスコンセプトの合意形成を図ります。

さらに、具体的なプロダクトに落とし込む上でプロダクトデザイナーの橋渡し役として、企画から開発フェーズへと顧客視点をきちんと繋げます。常に顧客視点で「何を作るべきか」を問い続け、プロダクトの企画と開発を推進し、顧客体験を磨き上げていくことがサービスデザイナーの重要な役割です。

―サービスデザイナーとして意識できる価値は、どんな点でしょうか。

私たちの介在価値は、開発フェーズに進む前に「本当に解決すべきコアなターゲット像と提供価値」を決めることにあります。プロジェクト初期はターゲット像が漠然としていることも少なくないため、UXリサーチを通じて仮説を立て、プロトタイプを用いて検証しながら、徐々にターゲット像を明確にしています。

初期から「マス」を狙いすぎると、ターゲットが分散して提供価値が曖昧になり、誰にも響かないサービスが生まれる恐れがあります。そこで、「コアなターゲット」と「コアな提供価値」を絞り込み、その後のMVP開発へスムーズにつながる。そうしてプロジェクト全体の成功確度を高めているのです。

「正解のない問い」に、デザインで向き合い続ける

―SOMPOGのサービスデザイナーの魅力や仕事のやりがいについて教えてください。

私は現在、ウェルビーイング領域のプロジェクトに携わっています。高齢化社会における健康・介護・お金の課題は非常に深く、多様化しており、また業界構造も複雑です。非常に難しい領域ですが、未来をリアルに想像し解決している人は非常に少ないことがUXリサーチによってわかりました。SOMPOの保険・介護事業の知見やアセットを活用し、日々姿が露わになる社会課題にデザインの力で貢献することが、私たちの大きな挑戦であり、同時に大きなやりがいでもあります。

また、これまでメーカーやSIerなどの受託開発企業で働いてきましたが、SOMPOグループはテクノロジー企業とは成り立ちが異なります。技術的な固定観念に縛られない柔軟さがあり、お客様本位で物事を考える企業文化は、共感と仮説思考を重視するサービスデザインと非常に相性が良く、プロジェクトの進行もスムーズです。

そうした文化のもと、ビジネス・デザイン・エンジニアリングが三位一体で連携し、アジャイルに進められる環境は、SOMPOならではの魅力です。

―サービスデザイナーとして活躍するうえで、どのような経験やマインドが必要でしょうか。

「個性を論理的に言語化する力」と「変化に柔軟に対応するしなやかさ」が必要だと考えます。

サービスデザイナーの仕事には「深い共感を起点に、豊かな創造性で情緒的価値を生み出す」ことが期待されます。ここでいう感性とは、物事を心に深く感じ取り、得たものをさまざまな角度から捉え、独自の視点で発想することを意味します。

保険・健康・介護といった複雑性の高い領域に対して、有効なソリューションを構想し、実現していくためには、ビジネス部門やエンジニアとの連携が欠かせません。だからこそ、感性に基づいた発想を論理的に言語化し、ステークホルダーとの合意形成を図る力が求められます。

また、当部が関わるプロジェクトは「アジャイル内製開発」を軸に進めることが多々あります。「変わること」を前提とし、柔軟に対応できることも重要な素養といえます。

プロジェクトの「ハブ」として、ユーザー価値とビジネス効果を両立させるプロダクトを生み出す

―プロダクトデザイナーとして、日々どのような業務に携わっているのでしょうか。

現在特に注力しているのが、損保ジャパンの改革プロジェクト「SJーR」内での取り組みです。たとえば、複数の業務ツールが乱立している保険金サービス部門向けに、それらを統合した新たな管理画面の開発を進めています。また、事故対応の進捗をお客様自身が確認できるサービスの開発にも携わっています。

そのほかにも、介護現場の課題をAIで解決するためのPoC(概念実証)プロジェクトや、保険のチラシや申込書、IR資料などのビジュアルデザイン作成など、領域は多岐にわたります。

業務を進めるうえで重要になるのが、他職種との密な連携です。まずビジネス・デザイン・エンジニアリングが三位一体となってプロジェクトを推進していくことが求められます。さらにデザインフェーズにおいては、サービスデザイナーとプロダクトデザイナーが二人三脚で進めていく関係性が不可欠です。上流工程から実装フェーズに至るまで、両者が臨機応変に役割を補完し合いながらプロジェクトを前進させています。プロダクトデザイナーも上流工程から参画することで、ユーザー要件を体系的・体感的に理解したうえで、より的確なUI設計が可能となります。

―プロダクトデザイナーのやりがいや成長機会について教えてください。

プロダクトデザイナーとしてのやりがいは、やはり自身が手がけたプロダクトが、お客さまに喜んでいただけた瞬間にあると感じます。加えて、さまざまな要件や立場の異なる関係者と向き合いながら、最終的なプロダクトを形にしていくプロセスそのものにも、大きなやりがいを感じています。

たとえば、先ほど紹介した管理画面の刷新プロジェクトでは、これまで旧画面を使用してきた現場の声に耳を傾けながら設計を進める必要があります。さらに、サービスデザイナーからのユーザー要件、エンジニアからの開発要件、ビジネスサイドの要望、費用や工数といった制約など、複数の論点を整理し、最適な形でプロダクトに落とし込んでいくことが求められます。こうした状況こそ、まさにプロダクトデザイナーの腕の見せどころだといえるでしょう。

最近では、プロダクトデザイナーがプロジェクトの「ハブ」になるケースも増えています。各関係者の意見を丁寧につなぎ合わせ、それらをプロダクトに的確に落とし込む。その上で、チーム全体がうまく回っていると感じられるときは、自らの存在意義や成長を実感します。

リリースはゴールではない「作ってからが本番」

―プロダクトデザイナーとして活躍するうえで、どのような経験やマインドが求められるでしょうか。

共感力や創造力といった素養はもちろんですが、「成長意欲」や「挑戦する姿勢」を持っていることも非常に大切だと思います。

私自身の観点を加えるなら、根気強く、丁寧に物事を積み重ねていけることも重要です。思うように進まないことや、急にプロジェクトの方向性が大きく変わる場面があっても、心を乱さず、常に平常心で、最後の1ピクセルまで責任を持って取り組める人が、最終的にはバリューを発揮していると感じます。

われわれの仕事は「作って終わり」ではなく、「作ってからが本番」です。その地道なプロセスや作業に向き合い、こだわり抜くことで、価値ある成果がついてくるのだと思います。

―デザインチームの働き方やカルチャーについて教えてください。

働き方は、リモートと出社を組み合わせたハイブリッド型で、プライベートとの両立がしやすい環境です。

チームはプロジェクト単位でアサインされるため、日常的にデザイナー同士が頻繁に顔を合わせるわけではありませんが、物理的な距離を感じさせない工夫がなされています。例えば、有志メンバーでカジュアルなデザインイベントを開催したり、合宿などの交流機会も定期的に行ったりしています。

アサインや出社タイミングなどはプロジェクト単位にはなりますが、デザインチームの一体感を大切にするカルチャーが根付いていることで、チームとしてのつながりを感じられ、私自身も心地よく働けています。

―チームとしての今後の展望や、これから仲間になる方に期待することをお聞かせください。

デザインチームは、SOMPOグループ全体に「Design as Usual(デザイン的思考や文化が組織に当たり前に根付いている状態)」を浸透させていくことを目指し、チームを拡大している最中です。

AIをはじめとするテクノロジーが進化する時代だからこそ、これから加わっていただく方には、共感力や情緒的価値の創造など、「人間ならではの価値」を発揮していただきたいと考えています。